悲しみの歌

過去に米軍捕虜を生体解剖した医師、勝呂はすでに刑期を終えて社会復帰していた。
自分の医局のあった博多を離れ、新宿で開業医をしていた。
勝呂は過去の業に囚われ、人生に目的ももたず、家族も持たず、ただ寂れた医院でやってくる患者の相手をしていた。
あるとき、優しいフランス人のガストンが、どうしても見過ごせずに連れてきたナベさんと言う身寄りの無い老人を診療する。
すでに末期がんであり、痛み止めをひたすら打つだけの終末医療に、ナベさんは感謝しながら安楽死を勝呂に願う。
度重なる願いと絶望的な苦痛に悶え続けるナベさんを前に、勝呂はだましだましの治療をすることに耐え切れず、苦痛からの唯一の解放手段である安楽死を与える。
ナベさんは感謝しながら死ぬ。